今回は購入した中国メーカーの格安タブレットにおいて、PD充電器で充電できなかったので原因追求と解決策を施しました。結論としては、タブレットがPD規格に準拠していなかったため充電できなかったと思われます。原因詳細と解決の為のモジュールを製作しましたので御覧ください。
充電できない
昨年のAmazonブラックフライデーセールにて娘用にと安価なタブレットを購入しました。購入したのはAndroidが搭載されているBMAX i9 Plus androidです。
Wi-Fi(2.4G/5G)・Bluetooth5.0など、You Tubeを観るために購入したのでスペック的には充分です。また、給電はUSB typeCでイマドキです。次の旅行では車内で活躍してもらおうと考えていました。
タブレットを購入した1ヶ月前にセレナが納車されました。セレナは2列目シートにも充電用のUSBソケットがあり、ここで充電できると思っていました。
給電ソケットの形状はtypeCだったのでUSBケーブル(C-C)を購入し、いざ旅行へ!
常に充電されるように給電ソケットとタブレットは常に接続しており、娘はYou Tubeを観ていました。行きは順調でしたが、帰りに問題が起こりました。タブレットの電源が切れ、充電してくれとのメッセージが。どうやら、給電ソケットから給電されていなかったようです。帰宅後、原因追求していると給電側がtypeCの場合に給電されていないようです。
原因追求
給電側がtypeCの場合、急速充電に対応していなくてもUSB PD(パワーデリバリー)規格に準拠している必要があります。受電側がPD対応デバイスだった場合、非対応の充電器からは受け取らない可能性があります。(VBUS給電されたとしても充電されない)
今回のように+5Vのみの給電のケースで考えます。まず、ハードウェアとしてホスト側・デバイス側のCC端子(typeCコネクタ)にそれぞれプルアップ抵抗・プルダウン抵抗が必要になります。
上図のようにホストとデバイスを接続するとCC端子では各抵抗により分圧された電圧が印加されることになります。この電圧、つまりCC端子を監視することにより接続検知や供給能力を判別し、その後給電を開始します。そのためホストがPD規格に対応しており、デバイス側に5.1kΩのプルダウン抵抗が実装されていない場合はホストから電源供給されません。
今回で言うと、セレナはPD(+5V固定給電)に対応しており、タブレットに5.1kΩのプルダウン抵抗が実装されていないため充電されなかったと考えられます。この仮説を元に解決するためのモジュールを製作しました。
モジュールの製作
今回製作したモジュールはデバイス側のCC端子にプルダウン抵抗をつける為のものです。
接続図はこんな感じです。
回路図です。プルダウンの5.1kΩは入手が難しかったため、10kΩを2並列に接続し5kΩとしていますが十分動作します。
基板を露出するのはカッコ悪いので、筐体に入れます。今回採用したのはタカチ電機工業のSW-40Bです。
筐体に合わせて基板を製作します。今回もFusionPCBさんに製造いただきました。
部品を実装し、筐体のUSBコネクタ部分に穴を開ければ完成です。
まとめ
今回作成したモジュールを使用することで問題なく充電することができました!
一般に販売されている製品において、typeCコネクタを搭載しているだけでUSB PD(パワーデリバリー)規格に準拠していない製品もあるようです。そのため、充電されない場合があります。しっかり準拠している製品が対向デバイスのせいで故障を疑われる場合があります。コネクタをtypeCにしただけ製品には注意が必要です。